第 3251 号2011.05.15
「 日本の常識が美徳? 」
仲途帆波(ペンネーム)
大地震に続いて想定を遙かに超えた津波が、東北・関東地方の太平洋側を襲った。それに続き福島の原子力発電所の損傷という、大変な事態となっている。
被害の全貌は未だに掴めないが、諸外国の反応には意外な感じを受けた。
欧米諸国で日本がニュースになることは少ないらしいが、今回はさすがに大きく報道されたようである。
地震のとき或るファミリーレストランでは、従業員が冷静にお客を外の広場に誘導し避難させた。以前から緊急の際の教育が行き届いていたのだろう。余震が収まるとお客たちは店に戻り、代金を支払って帰宅した。そのとき帰ってしまったお客は、翌日店を訪れて飲食代を払ったという。
こんな私たちにとっては当然のことだが、外国人の人には驚きだったらしい。
では外国ではこんなケースでは、代金を支払わずに帰ってしまうのだろうか。
災害者が緊急物資受取の列に整然と並んでいることにも感心し、もちろん暴動どころか略奪も発生していないことに、賞賛の声が上がっているという。
日本の評価が高まることに悪い気はしないが、これらのことを日本人の美徳とか褒められると、何となくしっくりこないし、どうにも違和感がある。
むしろ我慢強いし、相互扶助の気性にも富んでいてボランティア活動も活発だという面にも、目を注いでもらいたい気がする。
どうだろうこの際だから、技術力は優秀だし経済力も高いが、宗教心に乏しく本音が分かりにくいという従来の見方を、一変させようではないか。
あの戦争後の焼け跡から奇跡の復興を遂げたように、今回も新しく生まれ変わるであろうことは、疑いようがないが…。