第 3238 号2011.02.13
「 NICKとMURRAY(Host-Family)体験 」
坂本 喜久子(大田区)
オーストラリアの青年、ニックとマリーは私たちに楽しい思い出と部屋に青年らしい香りを残して慌ただしく日本を発って行った。
ホストファミリーを努めるのは非日常的な刺激と緊張は心地よいものである。しかも自分たちの善意が何らかの形で役に立っていると思えばなおさらである。
彼らは、JRや地下鉄を上手に使って私たちでさえ迷う都会を縦横に動き回った。そして東西の混合文化や活力を十分に満喫したようである。
家に帰ると、目を輝かせて交互に見聞きしてきた事を披露してくれる。
「雨に濡れた明治神宮はすてきだった」とか、「浅草で食べた人形焼きは(Special Brown Cookies)はおいしかった」等である。中でも圧巻はラッシュアワー時の電車の乗降の実演で私たちを大いに沸かせた。
演奏家である彼らと、クラシック音楽好きの私たち家族は、音楽談義に花が咲いた。
ブラームスの憂鬱、R・シュトラウスの華麗なオーケストレーション当時のメルボルンフィルの音楽監督、岩城宏之の話など夜が更けるのも忘れて話し込んだ。
日本最後の夕の彼等の演奏会も素晴らしかった。正直に言って音楽家の卵の「ユース・オーケストラ」には余り期待していなかった。ところが、あれだけの人数での弦の厚み、アンサンブルの見事さ、豊かな音色のフルートのソロなど、若者の真摯なエネルギーに圧倒された。
最後の晩餐でも興奮覚めやらず大いに話がはずんだのは勿論である。
主人は交通手段や街の事情など的確な情報提供を、息子二人は複雑な話の通訳や案内をと忙しい私を助けてくれた。
国際的なサミットも大事だが、草の根の国際親善がひとつひとつ紡がれて大きな力となることを実感した。
胸に手を当て心からの感謝を述べる彼らの笑顔が何よりの置き土産となった。