「 スカイツリー探し 」
中山 麻子(足立区)
仕事の関係で、東京に引っ越して半年が過ぎました。新居が「東京スカイツリー」からやや近い位置にあることを知ったのは、住み始めてからです。それまで名前は聞いたことはあったものの、あまり関心はありませんでした。そんなある日、駅のホームから小さく見えたのです。細身で澄ました姿がなんとも愛おしく、一気にスカイツリーファンになりました。
朝と晩、ホームから眺めるうち、ひらめきました。
(マンションのベランダから見えたらどんなにいいだろう、ひょっとして探せば見つかるかも)
その日から、スカイツリー探しが始まりました。5階のベランダから見える景色は限られています。地図を広げて方向を確認しても難しくてわかりません。それらしき姿に目星をつけても、変化はありません(つまり伸びてこないのです)避雷針やビルの一部を、それと勘違いしてしまうのです。ぬか喜びの日々ですが、だんだん外を眺めるのが楽しくなってきました。朝は路地から人々が足早に出てきて、駅に向かう姿が見えます。夜は高層ビルの屋上が赤く点滅します。これほどビルがあったことに驚きます。遠くに見える首都高は真夜中でも小さなライトが流れています。都市に住むことは初めてではないですが、やっぱり東京は大都会なのだと感じます。
そして、ついに夢がかなう日が来ました。つい先日のことです。洗濯物干し終わった後、いつものようにぐるりと見渡していました。すると、少し離れたところにあるマンションの外階段のすきまから、「ごちゃごちゃっ」としたものが見えました。ピンときました。
(クレーンの先だ!)
そっとジャンプしてみました。ぼうっとした青色の胴体が少し見えました。
(間違いない!こんなところにかくれていたの!)
さあ、大きな楽しみができました。これからどんどん伸びていくのでしょう。もったいないからゆっくり伸びてほしいです。新しい街で、「史上最高の」同士に出会えました。