第 3204 号2010.06.20
「 Happy! The Henkutsu 」
真紅(鳥取市)
世の中には不幸にして「家族でなければこんな人とは絶対つきあわない」という人と家族になってしまうことが往々にしてあるもの。私と父は、まさにその典型である。
昔から気むずかしく、怒鳴ってばかり。何より困ったことに「それをいっちゃあお終いよ」というようなことを平気で言ってその場をぶちこわしてしまう性格で、なんど家族以外の人ともトラブルを起こしたかわかりゃしない。そんな偏屈な人、それが父なのだ。
それは父の誕生日の朝、母から電話がかかってきた。
「今日はお父さんの誕生日じゃない?あなた、何か贈ってくれた?」
どうも、3人いる子供からプレゼントもお祝いの言葉もない、と父が文句をいっているらしい。なーにいってんだか、と思う。
「私たちがちいさい頃から何をあげても、『ありがとう』っていってもらったことないし、それどころか、包装のまま何ヶ月でも放置してたんだよ。知ってるでしょ?それでもまだプレゼントをもらおうってのは図々しいんじゃない?」
意地悪く突き放したその夜、母はら再び、今度は嬉しそうに電話が入る。
「着いたわよ、あなたのプレゼント。それにね、お兄ちゃん夫婦がケーキとプレゼントを持ってきてくれたの。〇(妹)ちゃんからもさっき電話があってね・・」
そう、なんだかんだいいながらも私たち兄妹は父を見捨てず、毎年きちんと誕生日を祝ってきている。家族だから、というのも勿論あるけれど・・実は私たちを愛してくれている、ということがちゃんと伝わっているからだと思う。
偏屈オヤジからは、今回も勿論、お礼の一言もなかった。
それでも、私たちは来年も、再来年も、プレゼントを贈り続けるだろう。
Happy!The Henkutsu