「 変化を受け入れる 」
菜の花(匿名)
出産して、都会から田舎へ移り住んだ。
バスが日に4本しか出ないため交通手段に困り、急いで車の免許を取りに行った。
そんな時、町内会から出席依頼がきて顔を出すと、着いた早々「町とPTAと福祉の役員の3役を引き受けてほしい。」と頼まれた。
これには驚いた。私は運転免許を取り立てだし、越して来たばかりで、地域の事も知らない。その上乳飲み子もいると断ると、町内会の人達が一勢に、「私達は高齢だし、車を持っていない人もいる。頼んべ。」と言われた。仕方なく役を引き受けた。
役員になりたての翌日から午前は地区のお年寄りの病院へ送迎を頼まれたり、小学校の草刈り、祭りの準備にいくことに。
こんな風に週に2~3日は、役員の仕事で日夜赤ちゃんを背おい出歩くようになる。
あまりの忙しさに夫に相談すると、「変化を受け入れて飛び込んでみろ!その中に発見があるから。」と言われた。
そんなある日、郵便物を出しに車を走らせていると、地区のおばあちゃんが足を引きづりながら歩いている。気になり声をかけると、バスに乗り遅れて家へ歩いて帰るという。その方の家までは歩いて丸一時間はかかる。「おばあちゃん、乗って。」と誘うと、遠慮しながら乗ってくれた。家へ着くと笑顔で「ありがとう。足が痛かったので助かったよ。」と言った。その時私はじんわりと心が温かくなった。
今まで役員をやらされているという意識だったが、この日を境に、やっていこうという自発的な意識に変わった。
すると私の周りにも変化が起きた。お友達も沢山できて、地域の住民の方々の顔も覚えた。何より、子供が地域の人に大切にされている。
役員を引き受けたおかげで、こちらも地域に溶け込めて助けてもらっていることに気が付いた。
夫の言った言葉の意味が、体に染みて実感している日々だ。