「 14歳の叫び 」
匿 名
「とにかく家にいるのが嫌なんだ!」「俺をしばらないで!」
「なんでうちばっかり厳しいの?」
夕食の時間になっても帰らない日々が続いた長男をどなった日、息子は必死の形相で怒鳴り返してきた。
「よそはよそ。うちはうち。家のルールはちゃんと守ってもらいたい。」
私も負けずに怒鳴り返す。
14歳は思春期まっただ中で反抗的になるのは当然のこと、と頭では理解しているつもりだが、毎日、毎日、「うるせえ」だの「うぜえ」だのひどい言葉を投げつけられている方はたまらない。「いいかげんにせえよ」と思わずこちらも悪態をつきたくなってくる。
息子と思い切り衝突した日は、駅前までプチ家出をして本屋に入る。いろいろな文章に触れているうちにささくれだった心が少しずつ落ち着いてくるのだ。
そして少しずつ思い出す。私自身が家を出ようと決意したのが中2の14歳だったことを。息子と違って、私自身は面を向かって両親に反抗したことなんてなかったが、心の中では「こんな家は絶対に出ていってやる」と強く、強く思っていた。ごくごく普通の家に育った私でさえ、親はうっとうしかったものだ。身近な大人という大人に反発心しかもっていなかったような気がする。
14歳だったころの私と違って、母親に思い切り不満を訴えることができる息子をある意味でうらやましいと思った。家のルールを破るなんて私には想像もできないことだったけれど、息子はたびたび、破る。それでもそんな時はちゃんと「ごめん」と言う。そうか、もしかしたら、それでいいのかもしれない。14歳の彼にはエネルギーがたくさんあって、なんだかわけがわからないくらい体の中で暴れているのかもしれない。
「息子さま、昔の私を思い出させてくれてありがとう。母さんもまだまだ修行が足りませんね。これからはもう少しあなたを信頼し、少しずつ手綱を緩めていきたいと思います。」