第 3187 号2010.02.21
「 “春”近し 」
吉 野 正 枝(軽井沢町)
昨年から何度か雪が降り、歩く事さえままならぬ日々が続く。と云うのも、ここ信州では、一度雪が降ると、昼間溶けても夜は、マイナスの気温が続くため、道がツルツルになり、犬との散歩もあおづけになる。
さあどうしよう?今年も体重計に乗るのが恐くなり、どうにかして、体を動かさなくてはと、竹踏み、階段ののぼり降りにと励むのだが…
ある日、太陽の光にさそわれ、一部土をのぞかせたわが家の庭に出てみた。と、かわいい緑色の頭を出しかけているふきのとうをみつけた。こんな冷たい所で懸命に春を待つ力強い姿にしばし時を忘れた。―
ひとつ…ふたつ…ていねいに摘みとり、さっそくふき味噌を作り食卓に…。
大雪のための不幸なニュースの多い毎日ではあるが、今夜ばかりは話に花が咲き、心なしか愛犬まで笑顔に見える。
あっ!いけない。
口にする前に、庭で目にした光景をカメラに納めるの忘れた。
せめて心の中に焼き付けておきましょう。
そして、すぐ近くまで来ているはずの春を待ちましょう。