第 3169 号2009.10.18
「 つながり 」
林 麗 (札幌市)
わが家は、どの窓からも美しい木々が見えます。
それは街路樹のななかまどであったり、隣接した雑木林であったり、大きな公園の生い茂る樹木であったりするのですが、季節ごとに微妙に異なる、繊細な色彩の移り変わりに、毎日見る風景でも飽きることがありません。
思えば、私が幼い頃住んでいたところは市街地から少し離れたところで、近くには山や、大きな川、小動物の住んでいる池など、自然に溢れていました。
春にはおたまじゃくしを捕り、夏には川遊びや虫取り、冬はかまくら作りやスキーと、毎日飽きることなく朝から晩まで外で遊んでいたように思います。
また近くには水田があり、冬の一面真っ白なキャンパスが、春の田植えでこげ茶と緑の縞模様になり、それが緑一色になって、秋には黄金色に輝く様は子供心にも美しいと思ったものでした。野原には季節ごとにさまざまな野の花が咲き誇り、冬には一面真っ白の雪原になっても、翌春にはまた新たな緑が芽生えるのです。
あの頃は自然と強くつながっていました。山や空や緑が自分を抱き、守ってくれているようでした。
子供時代を緑豊かな場所で過ごしたことは、何か形の見えないものになって、しかし確実に私の心や体の一部を形づくったように思います。
窓から見える木々も、最近の冷え込みで少しずつ色づきはじめました。黄色の葉が風にそよぎ、山葡萄の葉が赤く色鮮やかに秋の日差しに輝いています。
この土地へ越してきてもうすぐ一年。緑豊かな環境で、ふたたび自然とのつながりを感じる日々を送っています。