第 3167 号2009.10.04
「 留守番に慣れる 」
仲 途 帆 波(ペンネーム)
「たまたま、重なってしまったのよ」
私が不平を言ったわけじゃないのに、我が家の主婦はそう言って弁解した。
というのは8月に3日、9月に6日、10月に6日と最近の3ヶ月で15日間も、妻が旅行で家を空けたからである。
趣味の会や近くの仲良し夫人グループの旅行、市主催の1泊ハイキング、夫の転勤で北海道・室蘭に引っ越した長女一家を訪ねるなどなど……である。
我が家は父母が既に他界、子供たちも片づき私も10年前にリタイアしたので、ぜいたくをしなければ主婦が旅行に出かける条件は整っている。
さて出発前になるとやはり心配なのか、ゴミの種類・出す曜日から始まって、洗濯、掃除、食事などについて細かい指示、指導がある。
洗濯は洗濯機がやってくれるし(干す、取込む、たたむは少々厄介だが)、掃除もクリーナーを動かすだけのこと、問題は食事だった。
私は以前から独りで外食するのは好まず、それより食材を買ってきて簡単な料理を作りたい方である。しかし妻には不評で、長女ともども口を揃えて外食するかホカホカ弁当を買うことを強要する。しかし、私は自説を曲げなかった。
今回の初挑戦は「鯛茶漬け」。図書館から借りた本のレシピどおりに作った。
堅めに炊いたご飯の上に、醤油とみりんの合わせ汁に漬けた鯛の刺身をのせ、熱い煎茶を注ぐだけだ。出来はまずまず、次は鯛をもっと多くが、反省点だった。
この数年前から注目されている江戸文化歴史検定をはじめ、最近ではフランスの旅検定など何かと検定ばやりだが、私の場合このところ激しく留守番をさせられたおかげで、「主夫検定」が制度化(?)されるとしたら、最低の3級ぐらいは取得出来るのではないか、と思っている。