第 3139 号2009.03.22
「 春の景色 」
篠崎 洋子(北海道古宇郡)
夕方の明るさに見上げると、窓一杯に広がる海も空も、もう紛れもなく春です。
鳥たちが透き通った風の中を真すぐに横切って行き、艶やかな声はそのアンテナが捕えた日の長さを、まるで確認しているようです。
羽ばたく君達は、黒い窮屈になった学生服を脱ぎ捨てようと、待ち構えています。
3年間の時を解き放って、よく養われた魂として、確かな成長を感じさせる少年として…。
肩と肩とを並べて離陸準備です。
ついに我が家の最後の卒業式の日です。
家族の凝縮した歴史がフラッシュバックして一つの時代を刻み込みます。
そして瞬く間に一つの章が終り、さあこれからもう一つの出発が待っています。
人生は学び続けるものなのですから、泊中学校で学び得た事柄は十分に蓄えられ、活用される最良の財産に違いありません。
身をしっかり伸ばし、真っ直ぐ前を見て、揺れ動く海の只中で歩み出して下さい。
失望しても絶望せず、「悲しんでいるようで常に喜んでり、貧しいようでいて多くの人を富ませ、何も持っていないようで
全ての物を所有している」
爽やかな優しさとしなやかな強さを忘れないで下さい。
暖かい陽射しの中でまもなく卒業です。
熱い拍手が鳴りやまぬ中で
堂々と進み出て下さい。 さァ―