「 おじちゃん 」
ごんた姫(ペンネーム)
先日さいたまに住む65才の叔父が実家に遊びに来てくれた。
70才を過ぎ家を購入した母に、新築祝いをわざわざ持ってきてくれたのだ。1時間ほど車を走らせ、私と夫も二人に合流。母と叔父、そして私たち夫婦の4人でドライブすることに。まずは腹ごしらえをし、地元の観光地を巡って、最後は水族館へ。思いがけずあしかショーも目にすることができ、ささやかながら地元案内の大役?は果たしたかなとホッとした。
おじちゃんと会うのは15年ぶりだった。数年前に追突事故に遭ったというおじちゃんは、片方の足を少し引きずっていた。子供の頃冠婚葬祭で顔を合わすと、「お前は小さい頃千曲川で裸で泳いだぞ」といつもからかわれていた。たしか5、6才の時だったと思う。親戚が集まって山歩きをした時、歩き疲れてぐずる私をおじちゃんはおぶってくれた。中学2年のお正月に、お年玉目当てで年賀状を出したら、私の魂胆に気づかない振りをしてちゃんとお年玉を送ってくれた。結婚の際にはたくさんのお祝いを包んでくれ、それ以来毎年暮れには、とびきりおいしいお茶が届く。
時を経ての再会というのに、何の違和感もなくおじちゃんと接することができるのは、たぶん子供の頃おじちゃんにかわいがってもらったという、かすかな、でも確かな記憶が私の中に生きているからだと思う。おじちゃんにとっては私が最初の姪っ子だったから、もしかしたら自分の子供のように思ってくれていた部分もあったのかもしれない。
その後できあがった写真を送ると、おじちゃんからお礼の電話が入った。そして10才年上の姉、つまり私の母の行く末や、いまだ独身のわが弟の将来を電話口であれこれと案じてくれる。自分だって独身で、少し体が不自由だというのに。そんな時私は、血のつながりだけがすべてじゃないけれど、やはり血のつながりの不思議さを思わずにはいられない。20分ほど話をし、じゃあ、また遊びに来てねと最後に言って私はそっと受話器を置いた。いつかはおじちゃんに恩返しをしなくちゃと思いながら。