第 3127 号2008.12.28
「 夜景 」
ユリ(ペンネーム)
年末年始、実家のある札幌に帰省した。
昨年末は疲れきっていて、帰る前日までぐずぐずとしていて、帰るのを億劫に感じていた。
電車に揺られ、空港へ。
飛行機に乗り、しばらくすると離陸し、窓を覗くと東京の華やかな夜景が見えた。
人工的な光だけれど、芸術的にも映るその夜景は、本当に美しく見えた。
赤、白、オレンジ、黄色、青…色とりどりの光で埋め尽くされていた。
自分もこの光の中に溶け込んで生活しているのかと思うと、不思議な気持ちになった。
「大都会なんだ」と、当たり前のことをしみじみと思い、
見えなくなるまでずっと見ていた。
一時間半後、新千歳空港が近づいてきた。
そして同じように窓の外を見てはっとした。
夜景が見える。
その光の数は、東京に比べれば圧倒的に少なく控えめなのに、
冬の北国の空気はあきれる程に澄んでいて、
その光たちはキラキラと宝石のように瞬いて、
私には東京の華やかでゴージャスな夜景より、より身近に美しく見えた。
その光を見ていたら、なぜだか泣けてきた。
「帰ってきた」と実感し、ほっとしたのかもしれない。
私の贔屓なのだろうか?
誰にとっても故郷の風景というのは、特別に映るものなのだろうか?