第 3117 号2008.10.19
「 音を紡ぐ 」
梶 原 波津江(品川区)
サックスを始めて半年が過ぎた。
他の楽器も同じかと思うが、レッスンを重ねるたびに、「音を紡ぐ」楽器だと感じるようになった。
昔からサックスの音色に憧れていただけに、どのような楽器か調べもせずに体験レッスンに参加したが、真っ赤になって吹いても音が出ない!!「あれ?こんなはずでは・・・」吹けば当然に、縦笛のように音が出るものと思っていたのがとんでもなかった。
躊躇しかけた自分の背中を押して入会し、一ヶ月ほどでやっと音が出るようにはなったが、未だに音色というには程遠い。
同じサックスでも、マウスピース、リードの厚さ、口の形、息の強さ等々に、伝えたい心というエッセンスを加えると、チューニングで合わせるのとはまた別の意味で、一人ひとりが「違った音を紡ぐ」ということも分かってきた。そして、今はまだ、太さが均一でないぼそぼそと切れてしまうような糸を紡いでいるような状況だが、仲間で一つの織物に仕上げる楽しみも生まれた。
楽譜が読めない、若くないので覚えが悪い上に、頭と指が連動しないなど苦難の連続だが、何より、ちょっぴり厳しい先生と新しい仲間との出会いはステキ。他のクラスよりかなり平均年齢が高め(私は引き上げ要因)の私のクラスは、きっと進むテンポは遅いが、励ましあって、感動と楽しさを共有するメンバーとしては最高だと思っている。
難しくて挫折しそうになったら、もう片方の天秤に“夢、感動、仲間”とかを沢山乗せて、いつか、これが“私の音色ですよ”といって聞いていただけるような音を紡ぐために、今日も、まるでスポーツクラブに行っているような汗をかくレッスンに通う。