第 3094 号2008.05.11
「 行ってらっしゃい!! 」
M.あづき(ペンネーム)
「無理をしないでネ」と私。
「ウン。それなりに頑張るョ」と言って母の日の早朝、四国巡礼の旅に出発した夫。
「気候のいい時期にお遍路を実行する!」と定年退職を迎えた去年の夏に宣言していたのだ。
その時、私は「わぁ~い!自分だけの自由な時間が持てる」と心の中で叫び思わず踊りだすとこだった。
友人達に話すと決まって「夫婦一緒に行くの?」と聞かれた。夫が退職し、これからの二人に適度な距離が必要なのにナァ―と、その都度、苦笑顔の私。
資料収集、体力作りにと準備を着々と進める夫に何がきっかけで実行する気になったのかは、あえて聞かないでいたのだが、持ち物リストの中に亡き両親の写真、と書いてあるのを見つけた時には、少し理解できたような気がした。
見送りの時大きなリュックを背負った後姿に火打ち石を慣らす真似をしながら、「精神的にひとまわり大きくなって帰っていらっしゃいませ」と茶化したら、「それどころか、体力消耗して縮んで帰ってきたりして…」と負けずに冗談を言いながら出かけて行った。
留守の間、気楽な私はふた回り成長しているかも……ネ。