第 3089 号2008.04.06
「 小さなプロポーズ 」
高根 貴代子(江戸川区)
学生時代、女の子たちの集団行動に嫌気がさした私は、当時いた5~6人のグループからそっと距離を取り始めた。少なくてもいいから、一生付き合えるような本物の友達だけが欲しいと思ったのだ。
大切な人は誰なのか、一緒にいたいのは誰なのか、私はグループの面々と自分の心を丁寧に見つめ続けた。「友達を選ぶ」なんて、勝手で生意気かもしれない。結局最後は一人ぼっちになってしまう危険もあったかもしれない。でも、そうでもしなければ、あのままではもっと一人ぼっちになっていたと思う。孤独はいいけれど、孤立はイヤだった。
そして、私はたった一人の大切な友人を選ぶことができた。彼女に向かって「唯一の友達に決めたから」と勝手に宣言までした。
まるで小さなプロポーズみたいに…。
今考えると、なんて直球で強引で恥知らずかと思う。顔では笑っていたけれど、言われた彼女はどんなに驚いただろうと思う。でも彼女はそれ以来、10年以上、私の大切な自慢の友人であり続けていてくれる。私の目に狂いはなかったのだ。
今でも彼女に会うたび、そんな誇らしさで胸がいっぱいになる。
そして10年以上前の、あの小さなプロポーズに恥ずかしくもなる。