第 3085 号2008.03.09
「 美しき 私たちの地球へ 」
牧野 紀子(江戸川区)
ずいぶん前の話になる。初めてお前の姿をみて驚いた。美しい
お前の姿だ。テレビの前で、世界中が、お前の姿をみて、息を
のみ、震え、感嘆の声をあげた。青い青いお前の姿だ。
強くて、やさしくて、そして数々の風雪に耐え、それでも、愚
痴一つこぼさなかったふところ深い母のようなお前が、我々の
心の中にいる。長い長い間、我々は、お前のことを傷つけ、生
きながらえてきた。生きるために、お前の犠牲などには、目も
くれずにきた。
目もくれずにきた代償が今、我々の身にふりかかってきている。
皮肉なことに、お前が傷ついた傷と同じだけ、我々も、いっし
ょに傷つきはじめているのだ。もう、我々に残された時間は少
ないだろう。
愚かだと笑わないでくれ。笑うものかと言ってくれ。これから、我々は、皆、お前にやさしくするはずだ。いたわるはずだ。だから、お前をいたぶり、傷つけてきた我々を許しておくれ。償いの時間をくれ。我々もようやく気づいたのだ。そして、この気づきが、決して遅くなかったことをいつか示してほしい。
もしも、万が一、我々がまた、このとても大切なことを忘れて
しまうような事態がおこったら、暴れてくれ。怒ってくれ。そ
の時は、手加減はなしでいい。そして、我々に懇々と教えてく
れ。自然の大切さを。いのちの重さを。お前の存在意義を。
我々はお前を踏みしめてきた。お前に抱かれてきた。それで、
生きてきた。これからも、そんな風にしてくれるかい。我々は
いつまでも、いつまでも、お前といっしょに、いたいのだ。永
遠の母のように。