第 3076 号2008.01.06
「 冬 」
ちひろ ゆりこ(ペンネーム)
上京して5年。
自然ばかりののどかな北海道に飽き飽きして
自分の生きる道を求めてやってきた。
仕事は派遣で、ほぼ定時あがり。
プライベートの時間を、北海道にはない憧れの習い事で
毎週埋め尽くして、自分探しをする。
自分で働いて何でも自分で決めて、
自分が生きているって感じがした。
新千歳空港に飛行機が着陸し、空港に渡る廊下で
ひんやり冷たい空気が真っ先に迎えてくれる。
思わず息をフーッと吹くと、白い息が寒さを教えてくれる。
久しぶりの故郷は、辺り一面に真っ白な雪景色。
積もる雪にうんざりしながら雪かきをしていたこともあったのに、
わあっと、懐かしく微笑んでしまう自分がいる。
帰ってきたばかりなのに、もう胸がいっぱい。
離れてわかるってこういうことなんだ。
故郷があるから頑張れるってきがしてきた。
とっても寒くてとっても温かく包んでくれる故郷に感謝。