第 3065 号2007.10.21
「 大阪暮らし入門編 」
主婦見習い中(ペンネーム)
縁あって大阪の人と結婚することになった。生まれてこのかた東京暮らしの私だが都市の生活はそう違わないだろうと新生活の場を想像していた。
先日、初めて大阪の彼の家に滞在した。場所は日本一長い商店街があることで知られる大阪の北である。さて、近所の市場に買い物に出かけた時のこと。魚屋さんの店先に珍しいモノが。銀色に光る平べったい長さ1メートルもあろうかという大きな魚。しげしげ眺めていたら「奥さん、太刀魚おいしいで。持っていかへん?」とお店の人。思わず「これってどうやって食べるんですか?」と私が聞いた途端、そばで買い物をしていたベテラン主婦の皆さんに取り囲まれた。「なんや食べたことないんか」
「これはな、ブツ切りにして塩ふって」と一人が話し始めるとまた隣の人が「塩焼きが一番簡単や」「塩焼きも美味しいけど、蒲焼きでも」。お店の人も参加しての井戸端会議。私は少し恥ずかしかったが真ん中でひたすら拝聴していた。
東京では買い物はスーパーがほとんど。個人商店でお店の人と話しながら買い物する機会は全くといっていいほどない。まして見ず知らずの買い物客が調理方法を教えてくれるなんて!元気でパワフルな大阪のオバちゃん達に圧倒されつつ、その人情味あふれる親切ぶりが新鮮でうれしかった。
私も大阪暮らしに慣れたらお店の人や近所の人とおしゃべりしたり、「おっちゃん、安うして」とか言えるようになるのだろうか。未来の夫に言わせると店先で恐る恐る「これおいくらですか?」と聞いているうちは大阪のオバちゃんへの道は遠いそうである。