第 3052 号2007.07.22
「 今年の収穫 」
小金 重裕(大阪市)
富士登山競争というのがあるのをご存じだろうか。知っている方はたぶん少ないのではないかと思う。
富士吉田市役所前を午前七時半にスタートし、富士山頂までを駆け登る。標高差3000メートルのレースだ。制限時間が四時間半で、関門が五合目と八合目の二ヵ所にある。
私は過去三回出場した。三回とも山頂へは行けず、八合目の関門でタイムオーバーになってしまった。昨年は、自分なりに練習に励み、百パーセントの力を出し切った。それでも八合目止まりだった。改めて苛酷なレースだと認識した。
今年も懲りずに参加する。山頂まで行けなくてもせめて八合目までは辿り着きたい。年に一度の富士登山だからと発想を変えた。
しかし、今年から五合目関門の時間が、十分短縮された。これは私にとっては痛い。昨年のタイムを七分以上縮めないと通過できない。はるばる大阪から、時間も金もかけて行くのに五合目で終わってしまうなんて。
だが、現実は厳しくて、あと一分というところで五合目の関門に引っ掛かってしまった。くやしいけれど先には進めない。
不本意に余った時間、五合目のみやげ物屋で、同じようにタイムオーバーだった東京の男性と一時間ほど話した。さらに、五合目から富士吉田市役所までの送迎バス内では、隣に座った大阪の男性と話すことができた。
見知らぬ方だが、同じレースに出たというだけで親しくなれる。これはいいことだと思う。レースはもとより普段のランニングの話などで大いに盛り上がることができたのが、今年の収穫だった。
来年もまた、参加するつもりだ。次の目標は五合目の関門を突破できる走力をつけ、八合目まで登ることだ。果たして来年の収穫は何だろう。
今から楽しみだ。