第 3050 号2007.07.08
「 母の声 」
山下 保子(札幌市)
子供の頃、お買物に出かける時、「ハンカチとちり紙持った?」と、母が、何時も私に聞く。私は、小さなバスケットの中に、ハンカチとちり紙を入れたのを持って、お出かけスタイルになる。
当時、地下鉄はまだなかったので、市電に乗ると、デパートの前に電車が止まるのである。のどかであった。
私が小学一年の頃、学校では時々、ハンカチとちり紙を持っているかどうかの点検があった。私は毎朝、ハンカチとちり紙は、ポケットに入れるのが習慣になっていたようで、忘れることもなくよかった、と思っていた。
私は現在、ケアハウスに入居させて頂いているので、レストラン(ここの食堂のこと)では、ハンカチとポケットティシュ(ちり紙)を入れた、小形の手提を側において、お食事を戴いている。
ふっと、「ハンカチとちり紙、持った?」と、優しい母の声が聞えて来る・・・。