第 3039 号2007.04.22
「 薔薇たちは、いつも私に、ご褒美をくれる。 」
村上 久美子(東京都日野市)
丹精こめて育てた薔薇
それを人に自慢したいのは、人情である
と、いつか読んだパヒューマリー・ケミスト(香りの科学者)が書いた本にあった。この言葉を思い出しながら、春とはいえ、まだ寒さが残る庭に、今日もまた私は降り立ちます。
庭の薔薇たちが、美しい花をたくさん咲かせてほしいと願うのなら、一年をとうしての手入れ・手当(労力投資)を惜しまないことなのです。
私が、自己流でポイントをつかみ自分スタイルの薔薇づくりを始めてもう6年ほどになります。
その原点は。「美しい薔薇に、囲まれて暮らしてみたい……。」というひとつの憧れからでした。
豊かな花色・やさしい花形・ふくよかな香り、そのどれをとっても薔薇は「花の女王」と呼ぶにふさわしい花だと思います。
人が、手をかけてやればやるほど薔薇は、美しく咲いてくれるのです。
初夏の早朝、ひとつひとつの薔薇にあいさつをし、その花姿と香りを確かめるのが、私のうれしい日課、喜びが、胸いっぱいに広がる瞬間です。
本当に、毎日の暮らしの中に薔薇の花があるだけで、不思議と表情が和み、優しい気持ちになれるものです。
いつしか気がつくと、薔薇いっぱいの庭になっていました。
主婦として、キチンとした生活をしながら、薔薇の花とかかわって毎日を暮らしたい……そう思って試行錯誤を繰り返し、薔薇の花に助けられ、今の私にたどりつきました。
そんな私に薔薇たちは、まぶしい初夏の陽射しを浴びながら、甘い香りを風にのせて、いつも私に、ご褒美をくれます。