第 3004 号2006.08.20
「 人生はまだまだ長い・・・大先輩たち 」
般 若 湯(ペンネーム)
先日、思い立って前々から行きたいと思っていた小平市の平櫛田中記念館へ。100歳以上の天寿を全うした木彫の大家で文化勲章受章者。
郊外の閑静な住宅街の中の居宅跡。居間・寝室・茶室・アトリエがそのまま保存され、広い庭には梅をはじめ、丁寧に手入れされた木々が茂る。別館には、すばらしい作品の展示。見て回るだけで心が弾んでくる。
氏は百歳を超えても日夜元気に製作に励む日々。三十年分以上の製作用の木が用意されていたそうな。そして、この小平の家を新築、都心から引っ越してきたのは98歳の時だというから恐れ入る。玄関に氏の書いた色紙が展示されていた。「七十八十は、はなたれ小僧。男の仕事は百から百から」。実際にそれをやってのけた人。私なんかはなたれ小僧の域にも達していない。見ていると、先の長い人生が楽しみになり、心躍る。
むかし、見たこれも長寿の画家、熊谷守一の色紙も思い出した。「お前百まで。わしゃいつまでも」。茶目っ気たっぷりの爺さんたちだね。
そんなことを思ううちに、日ごろの疲れなどどこへやら。爽快な気分で記念館を後に。
こんど、田舎の母も連れてこなければ。