第 2998 号2006.07.09
「 ゆかたを縫う 」
太田 ノブ子(石川県金沢市)
幼稚園に通い始めた孫に、ゆかたを縫ってあげようと思い立った。
店先に飾られているゆかたを見てまわる。その柄の多さに驚く。花火や金魚のものに、懐かしさを覚えたが、孫の喜びそうな、漫画のキャラクター柄に決める。
古い和裁の本を手元に置いて、慎重に布を裁つ。なにしろ娘のゆかたを縫って以来のこと。その時は母が横にいてくれて、母と二人で作ったようなものだった。
しるしを付け、さて縫うことになって考える。店で見たのは、ミシン縫いが多かった。母が作ってくれた私のゆかたを見ると、ていねいに手縫いで仕上げられている。娘のも、やはり手縫い。広げて眺めているだけで、母のぬくもりが伝わってくる。ここは頑張って手縫いにすることにする。
いつの間にか、和裁の本は閉じたままになり、手本は母の手縫いのゆかたに代わる。袖付け、衿付け、縫い代の始末と、実物を見ている方が多くなる。孫の寸法に合わせ、肩揚げ、腰揚げと、苦労しながらも完成。
母の手縫いのゆかたと首っ引きで仕上げた孫のゆかた。本当に久し振りのことで、肩は凝ったが、孫の喜ぶ姿を想像すると、満足度百パーセント。
娘から「次は親子ペアーをお願いね。」と言われ、少し難題だが、またチャレンジすることにしようと思う。