「 石油ファンヒーターが壊れて 」
ペ コ(ペンネーム)
八ヶ岳山麓でペンションを始めて10年。新しい地での初めての仕事。
あっという間だったが、物理的には10年は10年。新築の建物も年季が入ったし、備品にもガタが出始めた。昨年から、椅子、ボイラー、製氷機が壊れ、買い替えや修理を余儀なくされた。
そして、またこの2月、突然、石油ファンヒーターが動かなくなった。もう一歩のところで点火しない。毎日使うものなので、大慌てでホームセンターに持ち込んだ。メーカーに修理の取次をしてくれるという。1週間程度の不便を覚悟していたが、家に戻った途端ホームセンターから電話が入った。「メーカーは『症状からいってバーナー部分の劣化ですが、10年前の製品なので、もう交換部品がなく、直せません』とのことです。ご不用でしたら、こちらで処分しますが処理費用に千円かかります。どうなさいますか?」(え、昨日の朝まで使えたのに、部品が一つないだけでお払い箱?それに、実際に機械の中を開けて見てもいないのに、どうしてバーナー部分の劣化だって判るわけ?)
このまま廃棄処分にするには納得がいかない。再びホームセンターに出向き、ヒーターを引き取ってきた。夫は、理系人間で、そこそこ機械がいじれる。どうせ、壊れているのだから、ダメでもともと。夫はヒーターのねじを外し、分解して中の様子を見始めた。格闘すること約1時間。何と夫は石油ファンヒーターを直してしまった。バーナーの故障ではなく、別の箇所に10年来の汚れが付着してしたのが原因だった。1週間の不便どころか、1日で、それもタダで直ってしまった。
何ということだ。直るものを捨てるところだったのだ。今の社会では、こんなことが山ほど行われているのだろう。資源の無駄遣い、ゴミの増加、そして地球温暖化問題までみな繋がっているのだ。現代の消費生活を見なおす必要を痛感した出来事だった。