第 2971 号2006.01.01
「 今年は会いにいきます! 」
匿 名(港区)
「会おうね」
「今年こそ会おう」
口に出した時はそう思っている。だけど、半分は口約束かもしれない、と心のどこかで思っている。
会えるよ、十二ヶ月もある。
一年が終わる頃には、十二ヶ月しかない、となる。一年って早いねえ。今年こそ会おう。
ふと、年賀状にそう書くのが嫌になった。
前の年もらった賀状、その前の年にもらった賀状を見直すたび、長く手にとってしまう賀状がある。六年前、一度会ったきりの、夫の仕事仲間の奥さん。感じのいい人だった、という印象のまま、賀状のやりとりだけで六年がたっている。
前の前の年の賀状に、また会いたいと思わせる人、と書いてくれた。
賀状の文句なんてすぐ忘れてしまうのに、しばらく心に残った。前の年の賀状にはメールアドレスを書き添えてくれた。私はいそいそとアドレスを登録して、一度もメールしなかった。
今年、年賀状はくるまい。彼女の夫と私の夫はもう同じ仕事場にいない。私だったら、もう年賀状を出さないだろう。そう思ったら急に彼女が懐かしく、しきりと、もらった賀状の文句が思い出された。彼女に、ハンでおしたような決まり文句を言うのは嫌だな。
私は「アドレスは変わってませんか」と書いた。変わってない、と返事がきた。その賀状を一日寝かせて(寝かせなければいけないような気がしたのです)ついにメールをした。六年ぶりに!
すぐに返事がきた。
「遊びにきませんか?」
いこうかな。去年から行くつもりだったくせに、何をもったいぶっているんだか。
今年は会いに行きます。