第 2953 号2005.08.28
「 無題 」
シフォン (千葉市)
責任ある仕事の連続。迷いながらも気がつけば仕事を続けて20年以上も経っていた。自分を見失い、悶々とした気持ちが続いていた矢先、ふとしたことから今年一年間大学で学ぶ機会を得た。大学生活に胸膨らませていた私だったが、現実は厳しく久しぶりに聴く大学の講義は、私にとって難解で焦るばかりだった。そればかりか、熱意ある仲間は専攻に関する講座を大学以外に積極的に受けており「何の為に、何を求めて大学に通っているのか。」と、自問自答する中、私だけがおいていかれる不安に駆られたまま暑い夏を迎えようとしていた。
お盆が過ぎた夏の終わり頃、専攻している心理学に関係のある学外研修を受けた。仲間の志の高さに刺激され、何となく申し込んだ研修だったが目から鱗の連続だった。「今の若い奴は『自分探し』とか、かっこいいことを言ってその辺に旅行に行ったりするんだよなあ。」という先生の言葉。私は、自分の心を見透かされているような気持ちになり、気恥ずかしさを覚えた。このところ『自分探し』という言葉を、いたく気に入っていたからだ。更に言葉は続く。「青い鳥なんかその辺にはいくら探してもいないんだよ、自分の中にいるんだよ。」と。その
言葉は、すとんと私の胸に落ち、きっとそうなのかもしれないと珍しく素直な気持ちで受けとめている自分がいた。
最終日の講義の言葉も、私の心に深く響いた。『人は皆、幸せになるために生まれてきた。』という米国の心理学者アルバート・エリスの言葉である。今の自分を受け入れられず、ずっと苦しんでいた私にとってこの言葉は救いであり温かかった。幸せを握る鍵は、自分自身の心の持ちようであることを解き明かせてくれた。今の自分を大切にしながら、一年後の自分に出会う為に歩んでいきたいと、心から思う。