第 2949 号2005.07.31
「 バリンバリン 」
岡村 愛子 (山梨市)
インドネシア式「風鈴」とでも言うのだろうか、面白いものを見つけた。
ブリキと竹が素材の音の出る玩具。「おもちゃ」だなんて言ったら失礼かもしれないが、「ふうりん」と呼ぶほどの風格(?)はない。
風を受けて♪カラカラコロコロ♪と軽快な音を出す。
すると手をつないだブリキの男女が踊りだす。楽しそうだ。
昨日、アジアの楽市で求め、夫が庭に据え付けてくれた。
カ・ラ・ン・・。コロ・コ・ロ・。「あっ、風だ。風が吹いてきた。」
窓際でジッと息を潜める。♪カラリンカラリン、コロコロコロ♪
「あっ、踊った踊った、やぁ、忙しそうだね。」
19歳の息子までが「ほら、今鳴っているよ。」と耳を澄ます。
ブリキの男女は忙しい。照りつける陽射しの中、蝉の合唱をBGMにひたすら踊る。その表情がまた愉快だ。「暑い」も「疲れた」とこぼすこともなく淡々と踊る。
彼の地では何処の家にも据え付けてあるものなのだろうか。民芸品なのか、生活用具なのかも不明だが、何と言うおおらかさ、すっかり気に入ってしまった。
遠くで雷が鳴った。「ん?来るかな。」
風の止まった炎天下、ブリキの男女もしばしの休憩。
服装からして年頃は我々と同じか、子供はいるのだろうか。年老いた両親を抱えているのだろうか、あちらの生活の楽しみは何なのだろうか・・・ぼーっと考える。
「雨にあたらないうちに中にいれようか。」
はいはい、そうしましょ。なにかの縁で我が家にやってきた遠来のお客様(?)、どうぞ寛いでいってくださいな。あなた方のお国のこと、いろいろ教えてくださいね。
呼び名は「バリンバリン」。
あちらの風にあたるとそう聞こえるのだろうか。
のどかな田舎ののどかな夏のひと時・・・。