第 2944 号2005.06.26
「 歌う電気ポット 」
児玉 昭子(港区)
長年愛用した我が家の電気湯沸かしポットがついに壊れてしまいました。いくらボタンを押してもお湯が出なくなり、メーカーに問い合わせましたが、修理を頼むよりも新品を買った方が早いし、安いとのこと。仕方なく新しいのを買い求めました。家へ持ち帰り、説明書を読みながら早速使ってみました。
「初めてお使いになる際には一度、お湯を沸騰させてから捨てて下さい。」とあったので水を一杯に入れて電源を入れました。しばらくするとバッハのメヌエットが聞こえてきました。このポットはお湯が沸いたことをメロディーで知らせてくれるのでした。バッハのメヌエットは子供の頃、ピアノの発表会で弾いたことのある懐かしい曲です。ポットの曲は電子音ですが、口笛を吹いたような音色で何となく心が和みます。強いて言えば携帯電話の着信音に似ていて紛らわしいので、携帯の方の着信メロディーを変えることで解決しました。
朝、電源を入れるとポットは黙ってお湯を沸かし始めます。しばらくするとお湯が沸いたことをメヌエットを「歌って」知らせてくれます。我が家では日本茶も紅茶もコーヒーもよく飲みますので沸かしてもお湯がすぐなくなります。水を足すとポット内の温度が下がるので自動的にポットはまた一生懸命黙ってお湯を沸かし始め、沸くとまたメヌエットを歌ってくれます。練習が嫌いで子供のうちにさっさとやめてしまったピアノのおけいこですが、メヌエットを聞いているうちに何となくまたピアノに触ってみたくなりました。そのうちにポットと競演でもしてみようかしら。