第 2933 号2005.04.10
「 昭和への郷愁 」
ジャイアン(ペンネーム)
東京生まれの東京育ちゆえ、残念ながら私には故郷が無い。
そんな自分にもひょんな事から心の故郷が出来つつある・・・・。
きっかけは、山梨県にあるサントリーの白州工場へウイスキーを試飲に行く際、道に迷って国道20号線脇の旧甲州街道を通った時に偶然見かけた造り酒屋さんが、酒蔵開放の案内をインターネットに掲載しているのを私の妻が見つけ、すっとんきょうな声をあげて「あの時の酒屋さんだ。いこっ」と言ったのが始まりであった。
酒蔵開放なんてどこでも同じじゃないか。なんで山梨くんだりまで行く必要があるんだ、なんて幾分引いた気分で同行した私がまず感激したのが、そこの酒屋さんの酒蔵の上に覆いかぶさるように見える真っ白な雪をいただいた甲斐駒ケ岳の山頂。そして真っ暗な酒蔵の奥深くまで幻想的な色とりどりのゆれる蝋燭のほのかな光。そして極めつけのお酒の数々と、そこに働く人達の人間味あふれる応対。
それからは、蔵元に買いに行かないと手に入らないお酒を求めて台ケ原や白州、そして牧原付近を車でうろうろするはめに。
美味しいお酒、美味しい水、そして美味しいお蕎麦等を楽しみながら帰ってくるのが何よりの楽しみに・・・・。そのうちに、樹齢1800年、日本最古の神代桜。その近くにあるなんとものどかな真原の桜並木の風景等々も知る事に。
これまで、気にも留めずに素通りしていた所に、こんなに素敵な場所があったんだ・・・・。行く度に周りの風景が、はるか昔になってしまった懐かしいあの昭和の雰囲気で自分を包んでくれる・・・。
またアン・サリーの曲を聴きながら台ケ原の七賢に行ってみよう。そして帰りがけに葡萄の丘にある天空の湯に入って・・・。