「 ついに泳げました25メートル、68才 」
古田 孝之(東京都府中市)
『どうしてあんな大きく口をパクパクあけるのか?』というのがとても強い第一印象である。医者の勧めで妻をプールで歩行させるために行った、国立のプールで目にした水泳を楽しむ人を見た印象のことである。聞けば水中で息を吐き、そして空中から空気を吸うのだという。もうびっくりした二年前をなつかしく思い出す。恥ずかしながら68才まで私は泳げなかったのだ。理由は単純そのもの。10才の時近くの川でおぼれて先生に助けてもらってから、水への恐怖がトラウマとなっていた。一方歩く筈だった妻は、上級コースですいすい平泳ぎを楽しんでいる。私が歩いて妻が泳いでどうする。犬かきみたいなことをしても進まない。クロールをやってみたい。そこで前に話した口をパクパクやる理由を知ったのだ。とても信じられないカルチャーショックだった。こんな単純なことも知らないで68年も生きてきたのだ。
そうです『人間は空気を吸わなければ生きていられないことを!!』さてそれから木原美知子や鈴木大地の本など水泳の本は数冊読んでなるほどと納得した。お風呂で実際やってみた。水中で息を吐き空中から空気を吸う体験だ。68才にしての大実験だった。待ちきれない思いでプールに急いだ。そしてお風呂での貴重な体験をゆっくり、おっかなびっくり実行した。なんと25mを泳ぎきりゴールにたどりついたのだった!!感動だった。子供の頃に自転車に初めて乗れた喜びがよみがえった。しかしまだ息が荒い。はあはあという感じだ。とにかく25mを68才にして初めて泳ぎきったのだ。
この感動は当時の日記に記してある。何度読み返しても嬉しいものだ。今は何とかして美しい泳ぎを目指したいと思っている。バタフライや背泳ぎを上手に楽しんでいる人を、私とは異なる運動神経の持ち主と尊敬してしまうが、努力してみたいと思う今日この頃ではある。
今度プールに行ける日が待ち遠しい。