「 結婚6年目のスピーチ 」
大 江 顕 子(ペンネーム)
先日、従姉妹の結婚式に出席した。披露宴での新カップルへの祝辞はどれも「奥様がご主人を支え、美味しいものを食べさせて健康管理をしっかりしてあげてください」といった良妻賢母を求める内容が殆どであった。
結婚歴6年良妻賢母とは全く反対の道を歩いている私には耳が痛かった。『もっと違う内容の祝辞はないものかしらねぇ』と心の中で呟いていると突然私にスピーチのご指名がきてびっくり仰天!
目の前が真っ白のままマイクを握らされ新郎・新婦の横へ立たされた。『どうしよう??えーいなるようになるさ!』と私の口から出た第一声が「結婚とは異文化のぶつかり合いです!」意外にも場内からどっと笑いが出て私も調子付いてしまった。「同じ日本人とはいえお互い育ってきた環境が違うのですから・・例えば目玉焼きに何をかけて食
べますか?お醤油?ソース?塩?実はこういったところからでもカルチャーショックは始まるのですよ。果ては洗濯の畳み方、お茶碗の洗い方まで気になるかもしれません。しかし、ここからが大切です。違うから嫌い、違うなんて信じられないというのではなく違うからこそ面白いのです。二人でどんどんぶつかり合って新しい文化を、そう二人の新しい家庭を築いていきましょう。」っとここで意外にも会場から拍手、「いいぞ!」の掛け声まで発せられて私は蛸のように真っ赤になってしまった。
無事スピーチが終わりニヤニヤ笑うパートナーを横目に席に戻る。
そこでふと思った。『このスピーチの内容ってまるで私のことじゃないの?』そうなのである・・結婚当初から現在まで自分とは違うパートナーの生活スタイルに拒否反応を起こしたことが何度あったことか。
そんな時ぶつぶつ文句ばっかり言ってまるで相手を受け入れず進歩がなかったなあと思った。異文化のぶつかり合い・・今からでも真剣に始めてみようかなあ・・突然のスピーチ指名から大きな収穫を得た1日であった。