第 2885 号2004.05.09
「 私の母の日 」
MIYUKI(ペンネーム)
昨年の5月11日―それは母の日だった。
昨年の母の日は日曜日だったせいか、「ああ今日は母の日なんだなあ」と朝からぼんやりそんなことを感じるゆとりがあった。かと言って、母に何か贈ろうと思うこともなく、用事のために買い物へ出かけた。
すると店の入り口で、花鉢を抱えた子供連れの女性とすれ違った。
「自分が母になっても母の日に花を贈るんだなあ」そんなふうに思った。店の中に入り、自分の買い物をしていると中年の男性が母親らしき人と帽子を選んでいる光景を目にした。「お母さんにプレゼントするのかな」男性の少し恥ずかしそうな様子と母親の嬉しそうな誇らしげな顔が印象的だった。店からの帰り際、1本の赤いカーネーションを大事に手にしている少女を見かけた。「私も小学生の時にこんなふうに花を買ったことがあったなあ」と懐かしく思いだした。
家へ向かう帰り道、私は何だかとても温かな、心が弾むような気持 ちになっていた。そして、家に帰ったら、母の大好きなケーキを作ろうと心に決め、スキップしたいような気持ちで家路を急いだ。母の喜ぶ顔を思い浮かべながら―。