第 2881 号2004.04.11
「 花、春の日に 」
清水 みどりこ(国分寺市)
こんな美しい季節を選んで、旅立っていった父は、花の好きな素敵な人生だった。花まつりにあと3日、お釈迦様の生まれた4月に、あなたのこの世の修行はすべて終わったのですね。小さい頃当たり前だった季節の庭の花々のにおいは、花好きな娘たちを育て、一年中庭に咲きそろっていた花の種類は、日々の暮らしを豊かに楽しむ法を教えてくれた。
桜が咲きはじめた今年の穏やかな春の日、その花の下、けむりの様に消えていってしまった懐かしいあなたの姿を、これから春が来るたびにきっといつまでも思い出します。木の花は満開に、水仙もヒヤシンスもみんな、にこにこ笑って送ってくれました。焼き場には可愛い小さな三毛猫さえ見送りに来て、みんなを癒してくれました。5年前、若くしてなくなった黒猫ミーシャを埋葬して、つい涙をこぼした優しい父。あなたを今埋葬する私の目は、涙で溶けそうです。ミーシャとの別れのときのように。生きることは、蝶の羽のようにある日は輝き楽しく、そしていつか悲しい別れに出会わねばならないものなのですね。
時の歯車はまったなしです。変わらぬものは何もありません。ですから私はいのちを楽しく引き継いで、また晴れやかに明るく精一杯生きてゆきます感謝の心で。だってあなたがこの世に送り出し、幸せになるようにと花のように、大切に育ててくれたのだすから…。