第 2875 号2004.02.29
「 春になりました。 」
匿 名
僕が大学を休学することを決めたのはまだ春とも言えないくらい肌寒い日だった。
僕が休学を考えるようになったのは、僕が抑鬱神経症になってからだ。
将来への漠然とした不安。自信の持てない自分。張りのない毎日。
僕には父と母と姉がいる。みんな僕のことを心配してくれ、休学を許してくれた。
僕は自分以外の人の気持ちを思いやるのが苦手である。自分のことはよく知っているつもりだし、自我が強いと友人からもよく言われる。
でも、本当はよくわからない。僕が何を考えているのかはとっても謎めいていて、不思議なくらい不安定な感じである。
きっと、多くの人が謎めいているのかもしれないと、最近思うようになってきた。でも、そう思うと、自然と人との出会いが楽しくなる。
謎解きは僕の心はをドキドキさせる。
2月の終わりから、僕は新しく古本屋のバイトを始めた。いままでやっていた家庭教師のバイトをさっぱりやめて、何も知らない世界へ飛び込んでみたくなったのだ。ホームページを開設したり、モデルのオーディションに挑戦したり、カルチャーセンターに通い始めたりと、僕の周りは新しい風が吹いているみたいに心地よく、活気付いている。
僕が大学に戻るまでの間に、何があるのだろう。大学へ通う意味、自分の進むべき道を模索しながら過ぎ行く日々をたどっていこうと思う。
久しぶりにテレビをつけると、ちょうど天気予報をやっていた。予報士が「春になりました。」と言うのはまだ先になりそうだ。僕は春が待ちどうしい。