第 2853 号2003.09.28
「 「季節のうつろい」(短歌14首) 」
丸山 正治(足立区)
雨の朝 音なく散りぬサザンカの 白き花びら石だたみに満つ
シクラメンの花の香りか ゆき交いの折に触れいし 春の兆しを
美しき 睫毛の長き面差しに 春の憂いを 妹たたえおり
白桃の すあまき香り 青春の 口づけ似たりと「白秋」の歌う
ふと ひと日 想い出の中のアマリリス ほのかに匂い 宴 展げり
想いでの 君を語らうこの朝は 花色みごと 紫陽花の咲く
伝うべき心あらめや 花言葉 ダリヤの朱は まばゆばかりに
コスモスの ほのかに咲きて秋の陽の 日ざしゆたかに「志津」の家並み
ひと挿しの 小菊あふれて食卓に ほのぼの香れり 十一月の“朝”
すみれ色のガラスダイヤの髪飾り 似合う少女のおさげ揺れて・・秋・・
金と銀 ちりばめいたる宝石の 輝きのごと「神戸」の夜景
灰色の 雲低くなりてふと侘びし 三河平野を よぎる頃しも
すすき穂の白くたゆぎし秋風の「小峯」城址に ひょうひょうと吹く
名も知らぬ 小花 手折りて 車窓に挿す しばし停車の 山峡いの駅